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企業インタビュー(2):株式会社ダスキン「ダスキン ライフケア」

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株式会社ダスキンは「ダスキン ライフケア」を通じ、シニアが自宅で自立した生活をするなかで暮らしを支え心に寄り添うサービスを提供しています。また、高齢者スタッフの雇用も積極的に行っています。今回は、株式会社ダスキン ライフケア事業部の船橋智彦事業部長にインタビューを行いました。

―― 事業名が今年4月から「ダスキン ライフケア」に変わりました。どのような経緯だったのでしょうか。

弊社は2000年から米国ホームインステッド社とマスターフランチャイズ契約を締結しております。マスターフランチャイズ契約については、契約当時は日本で介護保険が導入された頃でありましたので、自費でサービスを受けるというのはなかなか社会的に認知度が高いものではございませんでした。現在も利用者本人が希望されているサービスに介護保険が適用されない場合に介護保険外でサービスを組み合わせて利用するケースが多く、私たちは介護保険適用外サービスを提供しております。

日本の文化や生活様式は米国と違うところがあります。米国では自分の財産は自分で管理するとか、子供が成人になると自己責任で生活するという文化がある一方、日本は財産を自分の子供達に残すべきであるとか、自分の親の面倒をみるといったような日本独特の文化があります。そういう違いが見える中で、日本の文化・風習に合ったサービスが必要だと強く感じるようになりました。また「ホームインステッド」が日本人になじみのない英単語、一般の方がどんな事業なのかわからないということもあり、事業の認知度向上には名称をわかりやすくということがございました。

ダスキンは3年に1回、中期経営計画という事業戦略ならびに政策を考えており、2018年度は初年度になります。マスターフランチャイズ契約の次の更新は2020年でした。今期の中期経営計画の際に契約更新のタイミングになるため、新たなサービスを導入したり新商品を販売したり、親和性のあるダスキンの他事業と協業し、更に広くお役立ちしたいという思いで、この度、ホームインステッド社とのマスターフランチャイズ契約を解消させていただきました。

弊社の新しいブランド名称を決めるにあたり、サービスに関連するわかりやすい単語を200個ぐらい考え出しました。ダスキンはフランチャイズシステムで各土地で加盟していただいた事業者・法人にサービスを提供していただいていますので、ダスキン=シニアサービスということがイメージしやすいよう事業名称とサービス名が一致することによって早急に新ブランドを確立できると考えました。そこで、「ダスキン ライフケア」を立ち上げさせていただきました。

―― 「ダスキン ライフケア」の事業内容とサービス利用の現状を教えてください。

従来の「ホームインステッド」でも、お食事の準備やお話し相手、付き添い、夜間見守り、お掃除など身の周りのお世話、身体介護などのサービスを開業時から行っておりました。介護保険は要介護度・限度額によって利用できる内容や時間が決まっています。介護保険と併用で弊社のサービスを利用されるお客様が全体の7割を占めています。

弊社では「メリーメイド」という家事代行の事業も行っております。「メリーメイド」は家の人が不在でも家を綺麗に掃除したり、お食事を作ったりするなどのサービスでありますが、「ダスキン ライフケア」は単なるお掃除やお料理というサービスだけでなく、高齢者のADL(日常生活動作)機能を維持できるよう、より添い、対話し、気付き、考え、一緒にできる活動を促進、いつまでも自宅で生活を送っていただくための生活支援及び身体介護サービスを展開しております。単なる上げ膳据え膳のサービスではなく、たとえばご高齢者の方に「一緒にお洗濯物をたたみませんか」とご提案させていただいたりします。お洗濯といっても、タオルでしたら簡単にたたむことができますが、シャツなどは結構手先が必要になり、手順を考えながら行う必要が出てきます。

認知症のお客さまへのサービスは私たちが得意としているサービスのひとつです。やはり認知症の方への対応は、一般の方ではなかなか対応できないと考えています。「ダスキン ライフケア」では認知症の周辺症状を穏やかにさせるテクニックやノウハウを習得したスタッフが対応します。ご自宅でいつまでもこころ穏やかに過ごしていただいたり、自尊心を感じていただきながらご家族の代わり、ご家族以上の関係性をもって一緒に活動しています。認知症予防や進行を遅らせるには「歩くこと」「考えること」の2つが重要であると考えています。単に私たちが代わりに行うのではなく、一緒にできるところはご自身でも行っていただく。お困りの際はすぐにサポートするなど、ご家族にもご理解いただきながら契約していただいています。単なる家事や身体介護の役務サービスだけにとどまらないというのが私たちのサービスの特徴です。

―― 公的介護保険適用外サービスとはどういうものですか?

概して介護保険適用以外のサービスすべてを指しますが、医療・看護行為、注射、薬の処方、薬物治療、抱きかかえによる入浴、マッサージ、運転代行など一部お受けできないサービスがございます。一部自己負担で利用できる介護保険サービスとは異なり、介護保険適用外サービスは全額自費負担となります。日本では公的介護保険と民間介護保険があり、民間介護保険の保障内容には介護一時金や介護年金などがあります。話をしながらご高齢者を一人の人生の先輩として認め、これまでの人生や大切にされてきたことなどを受け止め、理解し尊重することで100人のお客様がいれば100通りのご要望があり、それに応えるサービスが存在します。それに対してご家族の方々はお金を自分たちで払うとしたら役務的な作業をご要望されることもありますが、ご自分のお母様・お父様が私たちの提供する対話・活動のサービスを受けることで自分らしく生きる目的を持ち、顔色や足腰などお元気になるケースもあるので付加価値を感じていただける方が継続的に利用してくださっています。

―― シニアへのサービス展開において貴社が特にアピールできる点があればお聞かせください。

生理的・安全的な欲求についてできないことを代わりにしてさしあげるだけではなくて、一人の“人間”として接することが大切です。加齢による身体機能の低下に伴って若い人やお孫さん世代から避けられたり、自分でできないことが増えてくるとどんどん自信をなくしたりします。我々もそうですが、過去に簡単にできていたことが少しずつできなくなり、自分自身の中で寂しく悔しい思いをしていることがあります。例えば視力が落ちてきたり、歩きにくくなったりなど、やがて他の人から支援を受けることになります。そういう中で自己として認めていただき、尊厳ある人として相手から認めてもらうのが一番だと思います。特に男性は長年社会で働いていた方が多く、定年になって家の外で日常的に話す相手がいなくなり、家庭においても邪魔者扱いされると、グループに所属したい、誰かとつながりたいという欲求を満たす必要が出てくると思います。いろいろな孤独感から立ち直っていただき、家族のように寄り添い、あきらめていたことも一緒に行うなど共に過ごすことで生きがいを感じていただき、心を豊かにするサービスがお客様に喜ばれています。

―― シニアビジネスに着目し展開している理由をお聞かせください。

ダスキンの経営理念と「ダスキン ライフケア」のシニアビジネスは親和性があります。「損と得とあらば損の道をゆく」「生きがいのある世の中にすること」「喜びのタネをまく」などが経営理念のキーワードです。

ダスキンは、清掃用品のレンタル事業で現在、約500万軒のお客さまがいらっしゃいます。創業して55年になりますが、ダスキンのお客さまも同様に高齢化が進んでいます。ダスキンの事業内でも協業しながら高齢化したお客さまに寄り添い、暮らし支えるお手伝いをしたいと考えています。国が提唱する2025年の地域包括ケアシステムの中心的な事業者として社会にお役立ちし、地域社会から頼られる存在として認知されたいと思っています。

(参考:祈りの経営ダスキン 経営理念)

一日一日と今日こそは
あなたの人生が(わたしの人生が)
新しく生まれ変わるチャンスです

自分に対しては
損と得とあらば損の道をゆくこと

他人に対しては
喜びのタネまきをすること

我も他も(わたしもあなたも)
物心共に豊かになり(物も心も豊かになり)
生きがいのある世の中にすること

―― シニアの労働力についてはどのように考えていますか。

2025年には34万人介護人材が足りなくなるといわれています。どれだけサービスを提供できる人を集められるかが重要になってきますので、その点においてアクティブエイジング協会さまなどと一緒に何かできればいいなと強く感じています。機械化やIT化など様々なところで省力、少人数でできるような仕組みはできるものの、最後にはやはり人間対人間のコミュニケーションが必要になるのではないでしょうか。最近はアイボやペッパーといったコンピューター・AI制御によって会話を楽しむロボットがでてきており、それは1つの対応方法として素晴らしいと思いますが、やはり「人間の優しさ」というものが必要だと考えています。高齢化により労働人口が減少していくなかでも私たちは働く方が仕事を楽しみ、やりがいをもって働きたくなるような事業を目指すためにも、人財を集めていきたいと思っています。

―― サービスを提供する側として、貴社はシニアが活躍する場が多いと聞きました。

多くの介護施設は殆んどの会社と同じように定年が60歳もしくは65歳になってきていると聞いています。私たちのスタッフは60歳代の方も多く、高齢になっていますが、それは定年まで施設等で勤務された方でまだまだ働く意欲をお持ちの方が「ダスキン ライフケア」で働かれているからです。今の高齢者の定義である65歳以上の方は元気な方が多く、このまま家で労働力を埋もらせておくことはもったいないですし、そういった方々は高度成長期を支えてきた人たちですので、人当たりも良く、相手の気持ちもわかる方が多くいらっしゃいます。これからも人とコミュニケーションが上手にとれ、気持ちに寄り添える方をどんどん集めたいと思います。最高齢は82歳の方も働いていますよ。スタッフの年齢が若いと顧客のご家族が不安がることもありますので、むしろお客様が85歳以上などの高齢者であれば歳が近い方が良い場合もあります。

―― 現在、貴社が直面または取り組んでいる課題について

今期末の店舗数は全国で106店になる予定ですが、全国規模で考えると対応できていない地域があるというのが現状です。通常は対応できるお店がない場合は、対応できませんということで終わりになってしまいますが私たちは介護などで高齢者の方がお困りでしょうから、高齢者をサポートするという観点から、その問い合わせ場所での地域包括支援センターや役所の高齢者の対応部署の電話番号等を教えてさしあげたり、ここに行けば希望かなえられると思いますよという提案をさせていただいています。

今までは法人向けに加盟店募集の提案をしてきました。全国に出店していくためにも、現在の出店パッケージは投資回収までのキャッシュフローを見込んで、初期投資を低減し、個人事業主向けにも加盟店募集を開始したいと考えています。

―― 貴社が考えるアクティブエイジングとは?

「ダスキン ライフケア」のサービスを提供しているスタッフそのものであると考えています。元気な高齢者はいつまでもお役立ちできるということですから、是非ともサービススタッフになっていただきたいです。現在のご高齢の方々は普通に生活ができるくらいの年金がきちんともらえますが、私たちがその歳になったときにはそういう風にはならないことが予測されます。自分の空いた時間で世の中のお役に立てて、お給料をもらうという方がたくさんいらっしゃればよいのではないでしょうか。人様のお役に立ちたいという考えは日本人として絶対あると思います。アクティブエイジングというのは多分そのことじゃないか、つまり社会参加ではないかなと考えます。

―― 今後のシニアへのサービス展開についての展望をお聞かせください。

今までは介護保険の補完的な位置づけとして市場認知されることが多くありました。元々、介護保険の事業者に営業活動をし、お客様を紹介していただくことも多かったからだと思います。そのため、役務サービスが中心になっていました。私たちは“コンパニオンシップ”という、「言葉にできない思いやご希望をお話の中から気付いて、それにお応えすること」を大事にしておりますが、半分以上は役務サービスになっているのではないかと推測しています。ご高齢者と一緒になって活動し、できることはしていただく、一緒に対話する、身体や手足を動かしていただくなど、一生懸命考えてまず実現していきたいです。そのことが介護保険の事業者や家事代行サービス事業者との差別化だと思っていますから、基本的な日常動作であるADLを維持し、住み慣れた自宅で自立した生活ができるよう、お一人おひとりに合わせたサービスをダスキンが提供しているという事業認知をまず広めていきたいと思っております。

二つ目は、認知症ケアに関してですが、2012年では462万人の認知症罹患者がいると発表され、現在も早急に増え続け、2025年には730万人、65歳以上の高齢者は5人に1人以上が認知症を患うと予測されています。施設・病院から自宅で暮らす政府の方針もあるため、今ある認知症ケアトレーニングプログラムをより充実させたいと考えています。

三つ目に介護離職が社会問題になってきています。親が介護を必要になると会社を辞めないといけなくなるということが起きています。週に1、2回でしたら費用もそれほど高くならないので、会社の福利厚生課や人事課とつながり、「ダスキン ライフケア」を使うことによって、いつまでもその会社で働くことが実現できるような企業タイアップの仕組みを作り上げたいと考えています。今まではB to B to C(企業と企業そしてその企業に所属している消費者)というビジネスに注力していなかったので、これからは新しい提案をしていきます。

最後になりますが、今までは個別に営業・サービスを行っていたダスキンの各事業の連携を進めていきます。お客さまはダスキンに頼んでいてもエアコン掃除は「サービスマスター」、家事代行は「メリーメイド」、介護は「ダスキン ライフケア」などそれぞれの事業部に分かれています。今後は事業連携を深め、住まい・生活のお困りごとをトータルで解決する“生活調律業”を目指してまいります。様々なライフケアをサポートすることでダスキンに頼むと、シニアサービス、そして生活に関するお困りごとすべてを解決してくれるというように事業認知を広めていきたいと考えております。

本日はありがとうございました。

2018年6月 (ダスキン本社にて)

船橋 智彦(ふなはし ともひこ)
株式会社ダスキン
ライフケア事業部 事業部長

(敬称略)

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