車いす利用者など障害を持つ人たちもストレスを感じず旅を楽しめる。そうした「バリアフリー観光」で集客を伸ばす地域が増えている。高齢化による旅行市場縮小への対応策というだけでなく、訪日外国人の呼び込みにもなる。旅行産業はNPOなどと協力し、地域の活性化につなげたい。
2006年のバリアフリー新法施行で公共施設や交通機関のバリアフリー化は進んだ。今後の課題は旅館など小規模な民間の施設、人によるサービスのノウハウ、外国語を含む情報発信の充実だ。
三重県の伊勢志摩地方ではバリアフリー観光の推進を掲げたNPOが中心となり、利用しやすい旅館や観光スポット、トイレやイベントなどを紹介する。階段のある神社や駅で手助けするボランティアも用意し、旅館業界などの活性化に生かした。
車いすのままで入浴できる露天風呂があるホテルなど、バリアフリー対応の施設は各地に広がってきた。需要に追いつかず、おおむね稼働率は高いそうだ。 観光庁は今年春、先行例をもとに、障害や慢性疾患を持つ旅行者への接し方をマニュアルにまとめた。こうした資料も参考にしつつ受け入れ体制を整えたい。
2020年の東京五輪・パラリンピックを機に外国語での情報発信も工夫したい。通常の観光案内はネットを通じて外国語で表示している地域や施設でも、バリアフリー関連の情報は電話のみという場合がある。これでは不便だ。
情報発信では、観光のしやすさだけでなく、不便な点も知らせたい。海外では、車いすでの移動がしづらい場所やルートについて、あえてその旨を記す例もあるという。プラスとマイナス、両方の情報が事前にわかれば、障害者は一層、スムーズに移動できる。
障害や病を抱えた高齢者にも、旅は大事な生きがいになりうる。また、観光客が不便なく旅できる街は住民にとっても暮らしやすい街といえる。バリアフリー観光の波及効果は大きい。

情報源: バリアフリー観光を広げよう:日本経済新聞