長生館(新潟県阿賀野市)は日本有数のラジウム温泉地として知られる村杉温泉(同市)の老舗旅館だ。泉質の良さと美しい庭園を売りに古くから多くの客を引きつけてきたが、東日本大震災の原子力発電所事故に絡む風評被害を受けた。近年は健康をテーマにした観光の提案など、地域資源を生かした誘客活動を積極的に展開し、新規顧客の開拓に挑んでいる。長生館の広大な庭園は多くの観光客を魅了してきた(大正時代の撮影と思われる)
創業は1868年としているが、江戸時代後期には既に会津藩と新発田藩を往来する客向けに旅籠(はたご)を営んでいたという。大正、昭和初期は社交場として栄え、県内ではまだ珍しかった米フォード製の乗り合いバスが同温泉地まで走っていたほどだったという。
現在、経営のかじを取るのは荒木善紀専務だ。月岡温泉(新潟県新発田市)で学んだ営業ノウハウを生かし、バブル崩壊で客足に陰りが見え始めた1990年代から経営の立て直しに動いた。団体客に代わって家族連れなどが増えたことに着目し、2002年には貸し切りの露天風呂3棟を新設。昭和初期に整備した約4000坪の広大な庭園に囲まれ、多くの客から高評価を受けた。
温泉地の若手経営者らとともにラジウムに関する勉強会も開いた。村杉温泉が一躍有名になったのは同温泉がラジウムからできる気体ラドンを含んでいることが分かった大正初期。「村杉のラジウムは世界的レコード」と地元紙に大きく取りあげられ、一大ブームを引き起こした。
荒木専務はこれまであまり意識していなかったラジウムの性質や効能について県内外に積極的に発信した。新潟薬科大などと連携し、五頭山でのウオーキングや入浴講座を取り入れたツアーや、地産地消の食材を生かした「アンチエイジングキャンプ」を企画。家族連れから高齢者世代まで、幅広い層の呼び込みに成功した。・・・

情報源: 新潟のラジウム温泉老舗旅館 放射能泉の風評克服へ: 日本経済新聞