ジメジメ、ムシムシする季節。特にこの時季、高齢者は脱水症に注意したい。もともと体内の水分量が少ないため、少しの脱水でも重症化する恐れがある。症状が出る手前の「かくれ脱水」状態を発見し、早期に水分補給などの対応をしたい。
高齢化が著しい東京都新宿区の団地で健康相談所「暮らしの保健室」を運営する訪問看護師秋山正子さん(68)の話では、梅雨入り前後から、脱水症とみられる相談が多くなる。
一人暮らしの九十代女性は、五月の連休明けごろから「テレビのリモコンが見つからない」とたびたび来訪。軽度の認知症があるが一人で生活できる程度だった。しかし、話が要領を得ず、秋山さんが自宅を訪ねると、肌寒い日があったためか閉め切った室内は暖房が入ったまま。食事や水分補給も十分でない状態だった。話が不明瞭なのも、脱水でさらに認知機能が低下した可能性があるという。
医療や福祉の専門家で結成した「教えて!『かくれ脱水』委員会」委員長で医師の服部益治さん(65)によると、脱水とは「人間の中にある海の水が干上がること」。失うのは水分と、塩分などの電解質だ。水分不足だと脳や臓器への栄養素や酸素の供給が滞り、老廃物の排せつ能力が落ちる。電解質不足は神経や筋肉の機能に障害を与える。脱水による熱中症は発汗、かゆみ、めまい、筋肉の硬直といった症状から下痢、嘔吐(おうと)、発熱、心不全や呼吸不全に進み、最悪、死に至る。
高齢者が脱水症になりやすいのは、いくつもの理由が重なっているためだ。例えば、最も多くの体液を含む筋肉の量が減る▽体内に水分をためる腎機能が低下する▽水分や電解質の補給源である食事量が減る▽トイレにいく回数を減らすため水分を取らない-などだ。認知症によって、自分が水分を補給したのかどうか分からなかったり、喉の渇きを感じる脳の機能が衰えていたりすると、一層、脱水症のリスクは高まる。
同委員会は六十五歳以上を対象に、かくれ脱水のチェックシート=表=を提案。きちんとした食事やこまめな水分補給を呼び掛ける。ただ、周囲が高齢者に水分補給を勧めても、飲みたがらないことも多い。
そんな場合について、「女優が実践した介護が変わる魔法の声かけ」の著書がある介護福祉士で女優の北原佐和子さん(54)は介護者に「まず自分が五感をフル活用し、お茶ならお茶のおいしさ、色、香りの良さを感じて相手に伝えて」とアドバイスする。

◆「キウイ+塩」がお勧め
熱中症の予防や初期の対応に、管理栄養士で一般社団法人臨床栄養実践協会理事長の足立香代子さんは「キウイフルーツ+塩」の活用を勧める。キウイには水分のほか、糖、カリウム、マグネシウムといった点滴と同じ栄養素が含まれ、塩を加えれば「食べる点滴」になる。
キウイ一個当たり〇・五グラム程度の塩をかけてそのまま食べてもいいが、気軽に飲める手もみスムージーも試してみては。熱中症予防なら就寝前に飲むのが効果的という。

◇キウイ手もみスムージーの作り方 
<1>皮をむき、適当な大きさに切ったキウイ(この場合は2個)をジッパー付き保存袋に入れ、手もみですりつぶす=写真(上)。
<2>1グラムの塩と水200ccを入れる=同(中)=と、完成=同(下)。

情報源: 高齢者の「かくれ脱水」注意 体の機能衰え重症化しやすく:東京新聞