人工知能(AI)やセンサーなどが人に成り代わって最適な動き方を考え、便利で快適な衣食住を提案する「考える家電」が相次ぎ登場する。ドイツで31日から一般公開が始まる欧州の家電見本市「IFA」では、日中韓や欧州メーカーが競ってこうした家電を出展。消費者一人ひとりの生活データを学習しながら働く家電が今後の主役になりそうだ。
ドイツなど欧州主要国や日中韓では今後、高齢化が進む見通しで一人暮らしのシニアも増加。日本では共働きの家庭が増える一方、20~40歳代の単身者世帯の割合も拡大しており、生活スタイルは多様化している。
AIなどを使った考える家電は消費者によって千差万別の生活関連データを吸い上げ、学習しながらその人に合った働きや機能を発揮する。社会構造の変化に伴いこうした考える家電の需要は世界的に高まっている。
家電世界最大手の韓国サムスン電子は独自開発したAI「ビクスビー」をあらゆる機器に組み込む計画。IFAで展示した冷蔵庫は庫内の中身をセンサーがチェックしてメニューを提案する。洗濯機だと衣類の種類や量、汚れから最適な洗濯方法を自動で選び取る。
サムスンはAIと次世代通信規格「5G」などに今後3年間で220億ドル(2兆4000億円)投資すると明らかにした。20年までに米国や韓国など5拠点でAI専門家を1000人以上に増やす。
サムスン電子の家電部門を率いるキム・ヒョンソク社長はIFAで「2020年までに『インテリジェンス・オブ・シングス』を実現する」と宣言した。
「AI強国」を掲げる中国勢も国ぐるみで知性を持った家電を開発中で、TCL集団やハイアールなどがIFAで最新技術を展示した。欧州勢では独ボッシュの家電グループ会社が、洗濯物の量や汚れに応じて洗剤の量を自動判別して投入する全自動洗濯乾燥機を発表。フィリップス(オランダ)はAIを搭載し、利用者の睡眠パターンを学習する睡眠改善ヘッドギアなどを開発した。
パナソニックはオーブンや調理台が連携して動き、調理を支援するキッチンを展示した。「AIやセンサーの技術はほぼ完成している」(同社)といい、3~5年後の実用化を目指す。ソニーも今秋発売するスマホに、利用者が次に使いそうなアプリを利用頻度や場所、時刻から推定して提案するAIを搭載する。
家電各社はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の先に「考える家電」を位置づける。
AI家電はIoTで集めたデータを解析したり自己学習したりすることで、最適に動かすことができるのが特徴。IoT対応の機器は17年に世界で274億個だったが20年には400億個に増える見通しで、家庭内にも入り込んでいる。

情報源: 主役は「考える家電」、冷蔵庫がレシピ提案 欧州見本市:日本経済新聞