人生100年時代、老後におひとりさまになる可能性を誰もが抱えている。もし、独居となった場合、どのような心構えなら充実した一人暮らしを遅れるのか。3人の実例から紹介する。

■母親をみとったヒロコさん(76)「一軒家は災害が心配。共同住宅に移って安心した」
愛知県住宅供給公社の空き室をリノベーションした分散型サービス付き高齢者向け住宅「ゆいま~る大曽根」(名古屋市北区)。現在、70戸ある住宅の入居者や申込者の約7割が一人暮らし。その一人がヒロコさん(76)だ。
「一人は甘んじて受け入れています。考えてもなるようにしかならないので、深く考えない」
同居の母親をみとった後、退職金と年金から費用を工面し、ゆいま~るに引っ越した。一軒家に住んでいたときは台風などの災害が怖かったが、共同住宅に移り住んだことで安心できるようになったという。
グラウンドゴルフに卓球、ちぎり絵、大正琴、マージャンと趣味が多彩。毎日のように外出する。
「忙しくしていないと時間がもったいなくて。友人とべったりの関係は苦手なので、むしろいろんな人とつながれるよう、たくさん趣味があるほうが私に向いています」(ヒロコさん)

■夫と別居を始めたユキコさん(71)
「人生で初めての一人暮らし。忙しく働いてハッピー」
同じく「ゆいま~る大曽根」に住むのがユキコさん(71)。実は隣の市には夫が住む「わが家」がある。「新しい家に住みたいという話をしたのに、主人は無視(笑)。結局、引っ越しの手伝いなどはすべて友人にしてもらいました」
現在は、高齢者施設での調理や、共働きの夫婦の子どもの食事の用意など、得意な料理を生かした仕事を三つ掛け持ちする。働くことと食べることが、今の生きがいだという。
「今はお客さまが喜んでくれると、元気が出る。家賃がかかるので、少しでも収入があると助かります」
一人暮らしは初めて。さみしくないかと尋ねると、「まったく!」と笑う。
「忙しいからでしょう。家に帰るとむしろほっとして、ようやくゆっくりできるという感じです。できる限りこの生活を続けたい」(ユキコさん)

■妻との死別を乗り越えた西田さん(71)
「料理や洗濯のやり方は仲間や後輩に教わった」
妻に先立たれた高齢男性の暮らしぶりをユーモラスに描く『70歳、はじめての男独り暮らし』(幻冬舎)。著者は、山口大学の理事や副学長などを務めた眼科医の西田輝夫さん(71)だ。読者には女性も多く、「夫にも読ませた」という感想が寄せられたという。
家事をしたことがなかった西田さんが妻亡き後に真っ先に取り組んだのは、料理。「コンビニのお弁当は買わない」と決意した。食材の買い方、切り方、調理法……。失敗続きだったが、困ると週に1回診察しているクリニックのスタッフや友人、後輩を頼り、アドバイスをもらった。ごみの分別方法や洗濯物の干し方、妻の遺品の整理の仕方などについても教わった。
「一人ぽつんと生きるのではなく、周りと関わりながら独立心を持って生きることが大事」(西田さん)
そうすれば、おのずと周りが救いの手を差し伸べてくれる、背中を押してくれることを実感した。一方、妻を失った欠落感を乗り越えるには、少し時間がかかった。だが、三回忌を過ぎたあたりから気持ちが変わってきたという。
「妻のことを忘れたわけじゃありませんが、積極的に生きようと。1月から習字を始めました。今、夫婦で暮らしている人に伝えたいことは『一人で生きる力は後からでも身につく。今は二人を楽しんでほしい』です」(同)

情報源: 高齢者こそ“一人暮らし”が幸せ? 3人の実例から学ぶ極意 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)