83歳の女性があなたよりインスタグラムでうまくやっていると知ったらどう感じるだろう?
実際のところ、決して驚くことではない。
ニューヨークタイムズは今年6月、ソーシャルメディアでのセルフプロモーションやエンパワーメントに秀でる高齢女性を特集した。この中で紹介された女性たちは、25~35歳を中心に合わせて数百万人のフォロワーを獲得している。そのうち数人は男性からの誘いも多く、対応に追われているようだ。
彼女たちは当然のように、若いころに育んだ価値観やライフスタイルを持ち続けている。大学教授でモデルの仕事もしているリン・スレーターさん(64歳)は「私が若かったころ、私たちはブラジャーを燃やし、自由恋愛を叫んでいた」と振り返る。「私たちはハイになっていた。そんな私たちが母親と同じ高齢者のイメージを受け入れると思う?」

「過去の高齢者」とは違う
彼女たちの華やかな外見、身のこなし、活力は、現代社会に関するとても重要な何かを教えてくれている。現代の「老い」は、私たちの両親や祖父母にとっての老いとは全く違うものになろうとしているということだ。特に、これからの高齢者はそれほど「高齢」に見えなくなるだろう。
実際、老後の見込みにもジェネレーションギャップが生まれている。新世代の高齢者はただ長生きすることではなく、より良い人生を期待しているのだ。そしてこれは年老いていくベビーブーマーだけの問題ではない。未来の高齢者すべてに共通することだ。
ある年下の知人(インスタグラムで存在感を増すことに高い価値を置いている)にニューヨークタイムズの記事を送ったところ、希望に満ちた言葉が返ってきた。「きっと私は70歳でピークに達するということね!」と。
実際、私たちの多くがそれくらいの年齢でピークに達する(そして、多くの人が本領を発揮し始める)可能性は高い。男性より年の取り方がうまい女性は特に。
マルサス主義的な破滅を予言する者もいるが、私たちはかつてないほど健康な高齢者になるだろう。過去の高齢者に比べ、どのような病気もうまく管理できるようになるためだ。病気にならないというわけではない。私たちの多くが高血圧、糖尿病、ぜんそくなどの慢性疾患と付き合っていくことになるだろう。しかし、新しい技術や医薬品、治療が発明され、必ずしも健康状態が悪化しないということだ。過去の世代よりはるかに活動的な暮らしを送ることができるだろう。
トマス・マルサスは数世紀前、人類は人口過剰、食糧不足を招く運命にあると述べた。この可能性が消えたわけではないが、陰気な古典派経済学の初期メンバーだったマルサスは、農業や食品物流における革新を予見していなかった。同様に、高齢者の暗い未来を予測する人々は、慢性疾患の管理と豊かで刺激的な暮らしを可能にするテクノロジーの進歩を軽視している。
未来の高齢者はこれまでよりはるかに洗練されたツールを手に入れ、身体的健康の枠を超えた幸福のさまざまな側面を管理するようになるだろう。
そうしたツールの一つがインスタグラムだ。他者とつながり、自分を表現し、文化的な関与を維持するための手段だ。「Instant Telegram(即席電報)」という語源を見ると、取るに足りない存在に感じられるかもしれないが、実際は、はるかに大きなトレンドを論じる存在だ。
テクノロジーは、現代の高齢者がかつての高齢者と全く違って見える大きな理由の一つだ。ソーシャルメディアはその一翼を担っているにすぎない。
私たちは老いとテクノロジーへの嫌悪を結びつけることに慣れてしまったため、おばあちゃんたちがインスタグラムでうまくやっている姿を見ると、奇妙な光景を目の当たりにしているように感じてしまう。だからこそ、ニューヨークタイムズは特集を組んだのだろう。しかし、そうした結びつけは、過去の高齢者に対するものであり、これからの高齢者にはもう当てはまらない。

高齢女性はライフスタイルのリーダーだ
その特集に、説得力のある調査結果が載っている。50歳以上の女性を対象にした小規模な調査で、73%の人が「テクノロジーに関して、自分たちの世代が下に見られることが嫌だ」と述べている。さらに、60%の人が、テクノロジーは「魅力的」だと回答している。
筆者は長年、企業は高齢女性の需要にもっと積極的に応えるべきだと主張してきた。高齢女性はライフスタイルのリーダーであり、家庭だけでなく全世代の最高消費責任者でもある。
高齢女性は人口統計における1つの層として、考えられているよりはるかに賢く、活動的で、裕福だ。女性、特に中高年の女性には、以下のような事実がある。

・米国の財産の60%以上をコントロールしている
・消費者購買の約85%を占める
・健康関連の購買決定(医師を選ぶ、薬局に行くなど)の90%近くを担う
・全自動車購入の60%以上に影響を与えているか、直接関わっている
・家庭用コンピューターの70%近くを購入している

筆者の著書「The Longevity Economy(長寿経済)」第3章では、「未来は女性の時代」を証明する統計データをさらに示している。しかし、魅力的なおばあちゃんの写真は、1000の統計データ以上の価値を持つ。それこそが物語の力であり、世界に関する私たちの認識は物語によって形成される。彼女たちは特別な存在かもしれない。それでも、彼女たちは未来の暮らしについて普遍的な何かを教えてくれている。

情報源: 「かつての高齢者」とは違う インスタで存在感を増す女性たち | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)