読売日本交響楽団の特別客演指揮者で「炎のコバケン」の愛称で知られる小林研一郎さん(78)が30日、府中の森芸術劇場(府中市)で、男声合唱のコンサート「コバケンが振る男声合唱 水のいのち」に出演する。多摩地域など各地の合唱団に所属する計約150人の歌い手を束ね、合唱を指揮する予定だ。普段はオーケストラに出演する巨匠が、男声合唱団の公演で指揮するのは珍しいという。
「音楽は気迫だ!」「今のは50点。持っているものを出し切っていない」。府中市内の練習会場では15日、小林さんの大きな声が響いていた。自らピアノを弾き、歌い、ジョークを飛ばす。声の出方を良くするため、合唱メンバーに相撲のしこを踏ませ、ジャンプをさせることもある。
メンバーが歌い出しのタイミングに遅れた時には、当意即妙の助言も繰り出す。「(米大リーグの)大谷翔平の160キロのボールや、(テニスの)大坂なおみの200キロのサーブを打ち返す時のように、全てのフレーズで常に出だしを待ち構えているんだ」。身ぶりを交え、力説した。
◇ 
小林さんと合唱団の出会いは1972年に遡る。新進気鋭の指揮者だった小林さんに、早稲田大学グリークラブにいた太田孝さん(71)、溝田俊二さん(69)らが公演の指揮を依頼したという。小林さんは引き受け、新宿・厚生年金会館でのコンサートは成功した。
太田さんらはその後、「多摩男声合唱団」(多摩市)に所属したが、小林さんとの交流は続いた。
女声合唱団、混声合唱団に比べ、数が少ない男声合唱団を盛り上げたい――。太田さんらは多摩地域を拠点とする他の合唱団にも声を掛け、立川市内で97年と2007年、小林さんの指揮による公演を合同で実施した。東日本大震災後の13年には、小林さんの故郷・福島県いわき市で、地元合唱団などを含む約200人の公演を開催した。
今回の公演も、太田さんらが小林さんに依頼し、5年ぶりに実現したという。
◇ 
「不思議な魅力がある」。男声合唱をこう評する小林さん。「素晴らしい声の広がりや、体が天に引っ張り上げていかれるような感覚を覚える」という。
今回の出演者は、80歳以上の人などを含めシニア層が多い。「彼らが背負ってきた人生の厚みを感じさせる公演になれば」と意気込んでいる。
午後1時半開演。各地の合唱団がそれぞれに歌を披露した後、メンバー全員が小林さんの指揮で、人生を雨や川、海など水の変遷に例えて表現した合唱の名曲「水のいのち」(高野喜久雄作詞、高田三郎作曲)を歌う。
チケットは2000円、高校生以下1000円。未就学児は入場できない。問い合わせは太田さん(090・5570・0591)。

情報源: 炎のコバケン、男声合唱を指揮 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)