シニア層の経験や意欲を、社会で生かそうとする機運が高まっている。大手企業で培った高い専門性を、中小・中堅企業の課題解決に生かせるように仲介するサービスが人気を集めたり、元気な高齢者が人手不足の深刻な分野で活躍できるよう企画を立ち上げたりと、需要と供給を満たす仕掛けづくりが進んでいる。今後も高齢化に伴う労働人口の減少は進むだけに、一層注目を集めそうだ。
「今後は営業マンの教育に力を入れていく」。大手住宅メーカーの営業部長だった安達知司さん(66)=京都府=は、2016年から不動産業「敷島住宅」(守口市)の注文住宅事業で顧問として活躍。商品開発などに尽力し、業績アップに貢献している。
安達さんと同社を結び付けたのは、人材サービスのパソナが運営する「顧問ネットワークサービス」だ。

■経験に値打ち
敷島住宅は、完成済みの住宅を販売する分譲住宅事業をメインに展開。7、8年前には、顧客の要望に応じてデザインなどを組み立てていく注文住宅にも着手したものの、伸び悩んでいた。
そこで同サービスに着目。シニア層を中心に、上場企業の管理職経験者などが登録され、パソナを通して適任者に業務委託できる。必要な期間だけ依頼でき、助言だけでなく、実際に取り組んでもらえるのが特徴だ。
安達さんとは月に4、5回対面で打ち合わせ。敷島住宅の強みである住宅の構造体を生かしつつ、空間デザインの自由度に応じて商品を3タイプ作ったりし、事業は軌道に乗った。川島永好社長(65)は「若い人にはない経験の豊かさに値打ちがある」と評価する。
安達さんが次に臨むのは人材育成。「定年を迎えても、やりたかったことに挑戦できるのはありがたい。少なくとも70歳までは仕事をしていきたい」と意欲を示す。
パソナは同サービスを13年に東京で開始。16年には大阪でも始め、今は全国で約5千人が登録。これまでに約4千件の依頼を受けてきた。大阪では毎年利用企業が倍増。今年4~6月期の売り上げ規模は前年同期比85%増にもなっている。
同社の伊富貴大志さんは「顧問の人にとっては自身の力を生かすやりがいの場となり、企業にとっては学びの機会になっている」と話す。

■自治体も注目
シニア層に着目した新規事業は、自治体からも注目を集めている。
大阪市が中小企業の新プロジェクトを支援する事業では、同市都島区の介護資格スクール運営の「SIM」が、元気な高齢者に介護分野で就業してもらう仕組みを提案して認定された。重松和孝社長は「高齢者の生きがいの創造と、社会保障費の削減につながる」と意義を説く。
起業家の事業計画を巡る大阪府のコンテストでは、シニア層の熟練の技術者によるアドバイザー事業を提案した「英知継承」(大阪市淀川区)が受賞。
少子高齢化に歯止めが掛からない中、シニア層を生かす仕組みが求められている。

情報源:シニア層に活躍の場 管理職経験者と中小仲介|大阪日日新聞