「年を取って体が動かなくなったから、車いすだからと、着物をあきらめないで」。県内で、体の自由が利かなくなったお年寄りの着物の着付けを手伝い、車いすに座ったままでも着付けられる方法を編み出した女性がいる。菅原恵津子さん(58)と松尾紀子さん(44)の2人だ。NPO法人「全日本福祉理美容協会」埼玉支社(北本市)のメンバーで、結婚式のような祝事の際などに着物を着たいと願うお年寄りらを支援している。
「久々に着物が着られてうれしい」。八月上旬、熊谷市内の福祉施設で車いすの高齢女性がしみじみと喜んだ。菅原さんと松尾さんの二人が手伝い、座ったままで浴衣を着付けた。「何年ぶりだろう…。何かしゃんとするねえ」との女性の言葉に笑顔が広がった。
二人が活動を始めたのは二年ほど前。理容師の菅原さんは、入院中の女性患者の髪をカットして喜んでくれたことが、きっかけだった。「おしゃれを手伝ってあげると、こんなに笑顔になってもらえるんだ」とやりがいを感じた。
松尾さんは元々、婚礼の着付けの仕事をしていたが「これで着物を着るのも最後かしら…」と寂しそうに話すお年寄りが多かった。「ああいう人たちに、もっと着物を着てもらえたら喜んでくれるのではないだろうか」と考えた。
お年寄りらに話を聞いてみると、高齢の人ほど着物を多く持っている。一方で「周囲に迷惑がかかるから」と着るのをあきらめていることも知った。特に車いす生活になると「着物を切らないと着られない」と考えている人が多かった。
松尾さんは「車いすでも着物を着られる方法を」と工夫を重ねた。菅原さんにも協力してもらい、座ったまま着付けをできる方法を考案。実際に試してみると、とても喜んでもらえた。
お年寄りへの着付けは、かなりの重労働。決して楽な仕事ではない。それでも「最後に笑顔になってくれるのが何よりうれしい」と松尾さん。菅原さんも「年だから恥ずかしいという人が多いが、きちんと着物を着て化粧をすると皆さんに喜んでもらえる」と話す。
二人は「手持ちの物でも楽に着られるので、着物を着て若返ってほしい」と声をそろえる。
問い合わせは、全日本福祉理美容協会埼玉支社=電048(593)6666=へ。

情報源:高齢者 着物で笑顔 北本のNPOが着付けを支援 車いすに座ったままでも|東京新聞