高齢者の認知症予防を目的に、東村山市内の集会施設など十六カ所で毎月一回ずつ開いている体操教室「いきいき元気塾」。この教室を主催する福祉活動団体「東村山いきいきシニア」の代表を務めている。
元気塾は、各会場の地元メンバーが運営し六十~九十代の会員約四百八十人が参加する。軽い体操、ゲーム、合唱などメニューは多様で、好きな会場に顔を出せるのが特徴だ。「市民が主体となって、これだけの規模で認知症予防に取り組むのは全国的にも珍しいのでは」と話す。
福祉活動に携わるようになったきっかけは定年退職翌年の一九九四年、故郷の沖縄・宮古島を四十四年ぶりに訪れたことだった。
かつての自宅周辺は広大なサトウキビ畑に変わっていた。近くの野原で大の字になり、晴れ渡った空を見上げると「幼いころからの記憶が走馬灯のようによみがえった」。
自宅は戦時中の四三年、旧日本軍の飛行場建設のため接収された。台湾への疎開を経て宮古島に戻った後、名護市に転居。空襲には遭わなかったが、母親を病気で亡くし、兄も復員して帰宅途中、不慮の事故で亡くなった。その後に上京。苦労して働きながら学び臨床検査技師の資格を取得、病院で働いた。
戦時中に食べ物をもらって飢えをしのぎ、上京後も知人の聖書研究者らに世話になったことなども振り返り、「多くの人に支えられてきた恩返しに、社会に役立つことをしようと決めた」という。
東村山では、仲間に呼び掛けて高齢者の移送・家事支援サービスを始めるなどさまざまな福祉活動に取り組んだ。東村山いきいきシニアは〇二年に設立。中心である元気塾を通して目指すのは、認知症予防に加え「高齢者の自立と地域の絆づくり」につなげることだ。参加しやすくするため会場を増やすことも検討している。
会員らに向け毎月発行している便り「あおぞら」(十二ページ)もひそかな人気という。毎号約千三百部作り、市役所などの施設でも配布している。一面を担当する下地さんは、八月号で西日本豪雨の犠牲者追悼や熱中症予防、庭先で育つミカンについて記した。「『楽しみ』と言ってくれる人が多いから」と執筆にも意欲を燃やす。

<メモ> 「いきいき元気塾」の参加費は1回100円。開催日やメニューは会場ごとに異なる。2000年6月3日、下地さんらが呼び掛けて市内で開催したのが始まりで、02年6月から「東村山いきいきシニア」が主催し、徐々に会場を増やしてきた。下地さんは近く、自身の福祉活動の取り組みをまとめた本を自費出版する予定。元気塾などの問い合わせは下地さん=電080(1300)6857=へ。

情報源:福祉で社会に恩返し 東村山いきいきシニア代表・下地恵得さん(85)=東村山市|東京新聞