「人生100年時代」を迎え、老後資金は誰もがアタマを悩ませる問題のひとつだ。資産の「寿命」を延ばすとともに、年金だけでは足りない生活費の穴埋めもしたい。こうした高齢層のニーズをくみ取る投資信託が登場している。核となるのが運用リターンを狙うとともに、年に複数回の分配金を受け取ることのできる「シニア向け投信」だ。

■生活費の穴埋めに
内閣府の「高齢社会白書」によると、2017年の総人口に占める65歳以上の割合は27.7%と、4人に1人以上を占める。慶応義塾大学の駒村康平教授は、「日本の家計の保有する金融資産はさらに高齢者に偏っていくだろう」と指摘する。
長い人生を見据え、金融資産が十分かを不安に思う高齢者は多い。こうした個人の受け皿になるのが投信だ。投信には株や債券といった複数の金融商品に投資することで、リスクを分散しながら運用できる特徴がある。定期的に受け取る分配金も個人には魅力的に映り、数年前までは高分配の「毎月分配型」投信が主流になっていた。
だが、金融庁はこの毎月分配に厳しい姿勢を示してきた。運用の実績を上回る過度な分配金で元本が取り崩され、長期の資産形成には適さないという理由だ。証券会社などは毎月分配の販売を自粛。この結果、毎月分配型で支払われる分配金は直近のピークだった15年から大幅に減少している。
分配金を出しすぎて運用の複利効果が得られなくなるのは、現役層にはマイナスの影響が大きい。だが一方で、年金だけでは生活費をまかなえない高齢層には、分配金のニーズが今でも根強くある。
今年に入り、シニア層を対象にした新たな投資信託が相次いで登場している。分配金を支払う回数を、毎月分配より少なくしている点が特徴だ。主流になっているのが隔月分配の投信。年金の支給がない奇数月に分配金を受け取れる仕組みになっている。

■年に資産15%分配
野村アセットマネジメントが1月に設定した「野村ターゲットインカムファンド」はその代表格。新興国を含む世界の株式・債券などに分散投資するバランス型で、年3%程度(コスト控除後)の利回り確保を目指す。隔月で払い出す分配金の目標額は1万口あたり50円。同投信に新規設定時から100万円投資した人の場合は、毎回5000円の分配金を受け取ることになる。
三菱UFJ国際投信の「わたしの未来設計」は、1年先までの分配の目標額を示す。突然の減配などで購入者が困ることがないように配慮する。仮に期間中の運用収益が分配の目標額を下回った場合は、元本を取り崩して分配金を払い出す。元本をかたくなに守るのではなく、適度に取り崩しながら運用のリターンも狙う戦略と言える。
一方、SBIアセットマネジメントの「SBI世界高配当株プレミアムファンド」はコースによっては資産の15%相当を1年分の分配金として毎月支払う。これは久しぶりの「毎月分配」型だが、運用残高は数億円と小さい。
神奈川県在住の70代の男性は「生活費のためなら投信の元本が多少目減りしても気にしない」と話す。子供世代への相続に備えて資金をたくわえるよりも、自らの生活を優先させる思いが強い。
「野村ターゲットインカムファンド」は運用残高が500億円を超える。シニア向け投信が受け入れられている証左だが、運用と分配金の最適なバランスは個人によって異なる。自分にとって最適な投信を選びたい。

情報源: 分配型投信、シニア向けに新型続々 隔月支払い主流|マネー研究所|NIKKEI STYLE