これからの高齢者は、年金に頼るのでなく働くことが必要だと、前回(10月25日付け)コラム「年金だけでは老後の生活を賄えない、対処の最善策は就労年数の延長だ」で書いた。
高齢者が働くことは、経済全体の労働力不足解消の観点からも期待されている。企業は、人手不足対策として、高齢者の雇用を考えているのだろう。
しかし、以下では、高齢者の就労を促進しても、将来の労働力不足は解消しないことを示す。

■日本の労働力人口は、2040年までに1300万人減少する
人口の高齢化は、労働人口の減少をもたらす。以下では、将来の労働力人口がどのようになるかを推計する。
最初に、全体の姿の概要をつかんでおこう。
「労働力調査」によると、2015年における年齢階級別の人口、労働力、人口に対する労働人口の割合を示す労働力率は、図表1のとおりだ。また、年齢階層別人口の推移は図表2のとおりだ。
◆図表1:年齢階級別の人口、労働力、労働力率(2015年)
◆図表2:年齢階層別人口の推移
15年から40年までに、15~64歳人口が約1750万人減る。したがって、仮に労働力率が76.1%のままだとすれば、労働力人口は1300万人強減る。働く高齢者が増えるので、ある程度は補えるが、労働力の減少は避けられない。
60年までには、15~64歳人口が約2900万人減る。したがって、労働力人口は2200万人減る。これに対処するのはきわめて困難だ。
以上のことを、もう少し正確に計算すれば、つぎのとおりだ。
将来における年齢別の労働力率が、図表1に示した15年の数字のままで変わらないと仮定しよう。
将来人口の値(図表2)を用いて労働力人口を推計すると、図表3のようになる。
◆図表3:将来の労働力人口(年齢別労働力率不変の場合)
15年との比較では、40年に約1300万人減り、60年には約2300万人減少する。
15年の製造業の就業者が約1000万人であることと比較すると、これがきわめて大きな変化だということが分かる。・・・

情報源: 働く高齢者を増やせば将来の労働力不足はどの程度緩和できるか | 野口悠紀雄 新しい経済成長の経路を探る | ダイヤモンド・オンライン