「とんでもないバアさんをやりたいの」。女優・吉行和子さん(83)のそんな一言で企画が始まり、静岡市で撮影された映画「雪子さんの足音」が完成した。12月1日午後2時、同市葵区の静岡東宝会館で初上映される。同市在住の浜野佐知監督(70)は「高齢女性の性欲を題材にした」という。
浜野監督は17年前、吉行さんを主演に映画「百合祭」を撮った。60~90代の女性6人が暮らすアパートに、75歳の色男(ミッキー・カーチス)が引っ越して来て起きる色恋狂騒曲だ。
浜野監督は23歳でデビューし、ピンク映画を400本撮ってきた。「百合祭」の前作にあたる「第七官界彷徨(ほうこう)」上映後の懇親会では、浜野監督の経歴を知った観客の中年女性たちが、せきを切ったように性の悩みを語り続けた。「女優は常に若くて巨乳。映画は男が欲情するかどうかを基準に作られてきた。でも、高齢女性にも性欲はある。それを撮りたいと思った」
「百合祭」は口コミで広がり、映画祭での受賞も相次いだ。だが、映画館で商業上映されるまで4年を要した。「高齢女性の性はそれだけタブーだった」と浜野監督はみる。
山田洋次監督の「家族はつらいよ」で上品な良妻を演じる吉行さんから「とんでもないバアさん」役の依頼が来たのは昨年6月。木村紅美さんの小説「雪子さんの足音」を原作に、映像化を決意し、今年1月、同市駿河区の旧エンバーソン住宅をロケ地に定めた。
あらすじはこうだ。吉行さん演…

情報源: 吉行さん「とんでもないバアさん」に 高齢者の性欲描く:朝日新聞デジタル