ある方から、リタイア後に医療保険は必要でしょうか?という質問を頂きました。老後の3大課題である「お金・健康・孤独」のうち、お金と健康に関係する質問ですね。では順を追って回答していきましょう。まずこの質問を言い換えて、健康保険組合に保険料を支払った上に、さらに医療保険に加入する必要があるでしょうか?という解釈をしてみましょう。

<健康保険とは>
退職後や、雇用継続でも労働日数が減ってしまって、それまで会社が半額負担してくれていた社会保険料支払いシステムから外れた時に、まず感じるのは健康保険料支払いの負担です。会社員の間は給料から天引きされていた上に、会社側が半分負担してくれていたのが、いきなり全額個人が支払うことになります。退職の翌年にやってくる住民税の支払いとともに、出ていく金額に唖然とする人もいるでしょうね。
国家予算に占める医療費の金額は増加の一途ですが、国だけではなく健康保険の保険料も結構お高いですね。会社員時代の所得が高かった方で、そのままの健康保険に加入を続けると、毎月数万円の支払いになる方もおられます。国民皆保険は法律で義務化されているので、自分だけ入らないというわけにはいきません。それどころか、健康保険証が無いと、現実にお医者さんが診てくれないと思います。
では、お医者さんにかかった時に、健康保険はどれくらい医療費を負担してくれるのでしょうか?年齢によって自己負担額が、1割負担、2割負担、3割負担と異なりますが、逆に言えば7割以上を国が負担してくれることになります。その他に高額療養費制度があって、一か月あたりの自己負担額に上限が設けられています。このほかにも自治体によって補助金がつくこともあります。また大企業などの健康保険組合に加入している方は、組合の規定で各種の補助を受けられることがあります。(詳しくは、ご自身が加入している健康保険の詳細をご覧ください)結構、至れり尽くせりな感じがしませんか?そして、対価として支払う保険料についても個人が属している健康保険組織によって異なります。例えば国民健康保険は、主に前年の所得をもとに保険料を決めますが(保険料の計算式をHPに記載している自治体もあります)、企業の健康保険組合の中には退職者の保険料は一律にしているところもあります。

<さて医療保険>
ご自身が加入している健康保険組織の支払い保険料金額と医療費の補助などを調べたうえで、さらに医療保険加入の必要があるかを考えましょう。ここで、おさらいしておくことは、保険の定義です。保険とは、「滅多に起こらないが、発生したら経済的損失が大きくて困ることに対して、事前にみんながお金を出しあって備えておくこと」と考えてみましょう。一般論ですが、人間は年を重ねるごとに病気をする確率が増えていきます。当たり前ですね。若いころは「病気知らず」で病気にかかることが「滅多にないこと」だったのが、人によりますが、リタイア後は、「病気にかかるのは普通のこと」になっていきます。個人的なことを申し上げれば、僕は64歳まで一度も入院をしたことがなかったのですが、64歳になってから2年間で手術3回、入院4回を経験しました。身体の変化は急に来ることがありますね。つまりリタイア後に病気が「滅多に起こらないこと」から「普通に起こることに変化する」ならば、保険という考え方が当てはまらないものになります。むしろ、普通に起こることならば、「保険」ではなくて「貯蓄」で対応すべきでしょう。

でもこれは、あくまで原則論です。どうやら病気の不安は人の心に深く巣食うものらしくて、世の中にはいろいろな医療保険がニーズに合わせて発売されています。中には持病があっても高齢まで加入できる魅力的な(?)ものもあるようです。少し冷静に考えてみれば、病気にかかることが普通なら、理屈で考えれば、高齢になるにしたがって保険料は高くなり、保障額は低下するはずです。さらに保険会社の利益(広告宣伝費だけでも巨額でしょうね)を考えれば、その分だけ保障額は減るはずですね。
もしも現在支払っている健康保険料に余裕があって、具体的に心配なことがあれば、医療保険を検討されるのも選択肢の一つかもしれませんが、加入する前に、例えば下記のことを考えてから決めてはいかがでしょうか。お考えの医療保険商品があれば、加入した場合の毎月の保険料を支払っている健康保険料に合算して、家計全体からのバランスを考える・・
いくつかのケースを想定して、ケースごとの支払い保険料総額と、保険から支払われる保障額を計算してみる・・などの作業をやってみて、納得したら加入されてはいかがでしょうか。

忘れてならないのは、医療保険は健康保険という堅固な一階部分に、自己判断で二階部分を重ねることですので、二階部分の必要性や大きさをご自身で十分考えたうえで加入の是非を判断してください。
(セニョ~ル)

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